ミツバチは家畜か? |
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2019年3月15日 皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です。 いきなり何を言い出すのか、とビックリされた方もおられるに違いなかろうと思います。春も間近となり院長の脳裏にはふとレンゲの花のピンク色が浮かびました。レンゲと言えばハチミツですので今回はミツバチを採り上げます。 以下、コラム執筆の為の参考サイト:家畜伝染病予防法http://www.mmjp.or.jp/yokojyuu/low/low/low_019.html(誰でも読めます)http://www.mmjp.or.jp/yokojyuu/low/low/low_019.html#id_03家畜伝染病予防法施行規則http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326M50010000035(誰でも読めます)千葉県東部家畜保健衛生所腐蛆病(ふそ病)にご注意ください! 家畜衛生だより 平成23年8月https://www.pref.chiba.lg.jp/kh-toubu/eisei-toubu/documents/eiseidayori-no8.pdf日本養蜂協会 腐蛆病http://www.beekeeping.or.jp/health/copingprocess/disease/official-disease腐蛆病予防薬蜜蜂用タイロシンの使用状況及び蜂蜜中の残留調査についてhttp://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/attach/pdf/index-12.pdf*タイロシンが現在国内で利用できる唯一の腐蛆病予防薬ですが、2018年1月に販売が開始されました。https://en.wikipedia.org/wiki/Honeyhttps://ja.wikipedia.org/wiki/蜂蜜【ボツリヌス菌ショック】蜂蜜を乳児に与えないで リンゴにバナナ…要注意食材はほかにも まず気をつけることは…産経ニュース 2017.4.22 07:00https://www.sankei.com/premium/news/170422/prm1704220032-n1.htmlハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.htmlHazrad Lab 防災と災害情報のニュースメディア2018年02月01日 15時41分山田養蜂場などが輸入した中国製「蜂の子パウダー」から抗菌剤を検出「蜂蜜・ローヤルゼリーメーカーの山田養蜂場などが輸入した中国産の乾燥蜂の子から、感染症の治療に使われるごく微量の抗生物質「オキシテトラサイクリン」が検出されたとして、厚生労働省は1日、食品衛生法にもとづいて、全輸入量1454kgに対する検査命令を出した。検査命令が出されたのは、山田養蜂場が昨年8月、中国・浙江省の会社から輸入した蜂の子パウダー23ドラム分(454.32kg)と、貿易会社の山宏実業が今年1月、青海省から輸入した50カートン分(1000kg)。神戸検疫所によると、輸入時に自主検査を行った結果、ミツバチの幼虫がかかる「腐蛆病」の治療に使われる抗菌剤が、それぞれ0.02?0.06ppm検出された。厚労省によると、「オキシテトラサイクリン」は、健康への影響がないとされる1日あたりの許容摂取量は、体重1kgあたり0.03mgとされており、体重60kgの人がオキシテトラサイクリンが0.06ppm残留した蜂の子を毎日30kgずつ食べ続けても、1日の許容摂取量を超えることはなく、健康に影響を及ぼす心配はないという。検疫所では、全貨物の積み戻しと保管を命じ、全ロットの検査を行うよう命じた。」https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/3/23646.html |
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ミツバチと 腐蛆病 家畜伝染病予防法 (昭和二十六年法律第百六十六号) 第1章 総則 第2条は、家畜伝染病の定義を規定しています。この条文は家畜の種類とその指定伝染性疾患とを羅列する内容ですが、例えば、豚に対しては、豚コレラ、アフリカ豚コレラ、豚水胞病と、3種類が定められています。そしてその最後の28番目に、なんと <蜜蜂 腐蛆病> と記されています。つまり、ミツバチは正真正銘の家畜の扱いと言う次第です。 因みに、家畜伝染病予防法施行規則 (昭和二十六年農林省令第三十五号) では、更にミツバチに対して、バロア病、チョーク病、アカリンダニ症、ノゼマ病の4つが届け出伝染病として指定されています。正直、いずれも院長には見当も付かない感染症です。 勿論、ミツバチは獣医師法が規定する飼育動物には該当せず、業としてミツバチに対して医療行為を施しても誰にもお咎めはありません。家畜ではあっても誰もが治療しても可との扱いですが、家畜伝染病予防法が規定する法定伝染病ですので、感染が疑われる際には管轄の家畜保健所に届けを出さねばなりません。おそらく届けるのは養蜂業者本人でしょう。実際の消毒や予防薬の散布等については、ノウハウも持っている獣医師の指導の下に行われるのではと思いますが、ひょっとすると予防薬 (これは動物用医薬品扱い) の販売元の社員が直接現場に乗り出すシーンもあるのかしれませんね。原則治療は行わず、全て焼却処分し、感染の拡大を防止する策に出ます。まぁ、法定伝染病に指定されるぐらいですから感染力も強く、治療の対象とせずに殺処分のみなのでしょう。 院長は子供の時分にアシナガバチに刺された記憶はありますが、ミツバチを含めてハチを飼育した経験無く (皆さんもそうだと思いますけれど)、勿論、腐蛆病の実態を観察したこともありません。全く異なる菌に拠る、アメリカ腐蛆病とヨーロッパ腐蛆病の2種類がある事も知りませんでした。 余談ですが、昔はカイコも家畜の列に加わっていた記憶があるのですが、現行の法律の条文に見つけることが出来ませんでした。 昆虫と言えども、哺乳動物と同様に、細菌、ウイルス、寄生虫などには冒されますし、細菌自身もウイルスに冒されます (バクテリオファージと総称します)。この世の中、生きとし生けるものは組んずほぐれつの八百八病合戦ですね。 |
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ミツバチと ボツリヌス症 2017年の4月に、ハチミツを食べた幼児が乳児ボツリヌス症に罹患し亡くなるとの痛ましい事故が報道されました。1歳未満の乳幼児では腸内細菌叢が整っておらず、大人では腸内細菌により制圧されるボツリヌス菌が増殖し、それが産生するボツリヌス毒素(菌外毒素)の影響を受けるとの機序です。ボツリヌス菌は加熱に強く、またハチミツは風味や成分を保つため特に加熱もせずに容器に詰められて市販されるゆえ、ボツリヌス菌が生きた状態で (正確には休眠状態の芽胞として) 存在していることになります。厚生労働省がホームページで注意を喚起していますので検索してご覧下さい。 ヒトと同様、幼弱な哺乳動物に対してもハチミツの投与は控えるべきでしょう。 ボツリヌス毒素は、神経からの指令を筋肉に伝達する中継点 (神経筋接合部) の機能を阻害しますので、その先の筋肉が弛緩した状態となり機能しなくなります。これが呼吸に関与する筋であれば息が出来なくなる訳です。 ハチミツは働き蜂が口から吸い込んで採取し、巣に戻って吐き出し、巣の壁に塗り延ばします。この過程で蜜中のショ糖(砂糖のこと) が酵素により分解され、ブドウ糖+果糖の混合物となります。巣を遠心分離して得られたハチミツ中には、これら糖類の他、巣の破片、ミツバチの唾液、花粉などが混入した状態です。植物が蜜腺から分泌する蜜自体は菌に汚染されていませんが、花びら、花粉などにボツリヌス菌の芽胞が付着しており、ハチミツに菌が混じるものと思われます。ハチミツ中では芽胞は休眠したままでパック化された状態であり、ミツバチに対しては作用しないと思われます。 中国は10年ほど前から世界一位のハチミツ生産国となっていますが、腐蛆病の予防の為に、一部で大量のテトラサイクリン (抗生物質の一種) が利用されているとの話も聞きます。これが仮にハチミツ中に残留していれば健康被害をもたらす可能性があります。健康食品として摂る意味が無くなってしまいますね。腐蛆病とハチミツの話がここに至ってやっと結びつきましたが、皆さんもどうぞ信用ある出どころのハチミツをお求め下さい。そして乳幼児の口に入らぬよう徹底して下さい。 |
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