ネズミの話2 分類 |
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2020年3月15日 皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です。 ネズミのお話の第2回目、分類について簡略に扱います。 以下、本コラム作成の為の参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/ネズミhttps://en.wikipedia.org/wiki/Rodenthttps://ja.wikipedia.org/wiki/ネズミ目https://en.wikipedia.org/wiki/Myomorphahttps://ja.wikipedia.org/wiki/ネズミ下目https://en.wikipedia.org/wiki/Brown_rathttps://ja.wikipedia.org/wiki/ドブネズミhttps://en.wikipedia.org/wiki/Winter_white_dwarf_hamsterhttps://ja.wikipedia.org/wiki/ジャンガリアンハムスターガンビアホホフクロネズミhttps://en.wikipedia.org/wiki/Gambian_pouched_rathttps://en.wikipedia.org/wiki/Giant_pouched_rathttps://ja.wikipedia.org/wiki/アフリカオニネズミhttps://en.wikipedia.org/wiki/Bamboo_rathttps://ja.wikipedia.org/wiki/タケネズミhttps://en.wikipedia.org/wiki/Mouse-like_hamsterhttps://ja.wikipedia.org/wiki/トビネズミhttps://en.wikipedia.org/wiki/Dipodidaehttps://en.wikipedia.org/wiki/Jerboaネズミ科https://ja.wikipedia.org/wiki/アカネズミhttps://ja.wikipedia.org/wiki/ヒメネズミhttps://ja.wikipedia.org/wiki/カヤネズミhttps://ja.wikipedia.org/wiki/トゲネズミ属https://en.wikipedia.org/wiki/Tokudaiaキヌゲネズミ科https://ja.wikipedia.org/wiki/ハタネズミhttps://ja.wikipedia.org/wiki/エゾヤチネズミhttps://ja.wikipedia.org/wiki/スミスネズミhttp://www.med.akita-u.ac.jp/~doubutu/kansensho/zoonosis/virus/monkeypox.htmlサル痘感染症https://ja.wikipedia.org/wiki/天然痘https://ja.wikipedia.org/wiki/種痘ウサギ式跳躍ロコモーションhttps://www.britannica.com/topic/locomotion/Saltation |
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ネズミの分類 ネズミの分類は近年に至っても揺れ動いている中にありますが、ネズミとは齧歯目の中のいわゆるネズミ型の一群であるネズミ亜目 (亜とは<すぐ下>との意味)に含まれる動物であり、ネズミ上科とトビネズミ上科から構成されます。ネズミ上科ではその軍門に 1800〜2000種 程度を擁し、トビネズミ上科は数は少なく 30種 程度です。 齧歯目とはその名の如くで、上下2本ずつ計4本の前歯 (門歯 or 切歯) が終生伸び続け、常に何かを囓って歯をすり減らす必要があります。犬歯(糸切り歯)が有りません。 この内の トビネズミ上科は トビネズミ科1科のみから成りますが、後ろ足が発達してウサギの様に跳躍する( saltatorial locomotion と言います)動物で、カラダの前半分はネズミに似ていますが、後ろ半分はだいぶ趣が異なります。夜間に砂漠地でぴょんぴょん飛び跳ねる動物の画像を見た方も居られると思います。 他方、ネズミ上科の動物は真のネズミの一派と言って良いと思いますが、これにはネズミ科、キヌゲネズミ科、シマネズミ科、モグラネズミ科、Calomyscidae科 の5科が含まれます。シマネズミ科に関しては全種を ネズミ科に含める分類があります。実際、アフリカに棲息している以外は身体付きはネズミ科の動物にそっくりです。ネズミ上科の各種の分類に関しては、新たに行われた遺伝学的解析が基板になっていますが、一部の遺伝子の数量的比較を元に行われたものであって、それが真実に近いものであるのかは不明です。この点は形態のみに基づいて行われてきた系統分類に関しても然りです。研究者に拠る分類の相違が烈しいですね。これまでの院長コラムにて、イヌ科、ネコ上科の系統分類について触れましたが、従来の形態のみに基づく系統の誤りが遺伝解析に拠り炙り出される一方、遺伝学的解析も十分とは言えず、似た様な形態を多数抱える動物群の系統関係の推測には、 controversy 見解の相違の違い、論争が小さくはありません。いずれも1つの分類のあり方だ、揺れ動いている程度に見て下さい。逆に、したり顔で系統を論ずる者 (系統発生の姿や進化を誰も見る事は出来ず、全ては仮説に過ぎません)が居れば素人と思って下さい。 ネズミ亜目 −ネズミ上科 −ネズミ科 アカネズミ、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ−キヌゲネズミ科 ハムスター、ハタネズミ、レミング、ヤチネズミ−シマネズミ科 アフリカオニネズミ−モグラネズミ科 タケネズミ−Calomyscidae科 Mouse-like hamster−トビネズミ上科 −トビネズミ科 トビネズミ 上記タケネズミですが、新型コロナウイルス感染症では感染源の1つとして当初は疑われていました。竹林に棲息する非常に大型のネズミですが、武漢では普通に食用とされ、養殖物が供給される態勢が出来ています。尤も何処まで微生物学的制御が為されているかですが、飼育下にあっても野生動物や感染を媒介する昆虫等と接触し得る飼育であれば安心は出来ません。 Calomyscidae科 の Mouse-like hamster は中央アジアに棲息していますが ネズミ上科の中で最初に分岐した仲間だと考えられています。真のハムスターと異なり、キヌゲミズミ科の持つ頬袋、側腺 flank gland, 短い尾を欠きます。研究者に拠ってはこの仲間をキヌゲネズミ科に含める者もいますが、形態的な明らかな違いからその分類は不適当でしょう。科名 Calomyscidae については、calo がギリシア語の Kalo = good に由来するのか、ラテン語のcalo = call, shout に由来するのか情報が得られず和訳は避けました。中国では前者を取り、麗の字を当てています。 日本在来の野ネズミの内、ネズミ科にはアカネズミ、ヒメネズミ、カヤネズミ、ハツカネズミ、それとトゲネズミが、キヌゲネズミ科にはハタネズミ、エゾヤチネズミ、スミスネズミが属します。ネズミ上科の科名の和名については一部 Wikipedia に従いましたが、再検討の上改めるべきでしょうね。またwikipedia では齧歯目をネズミ目としていますが、これには執筆者の見識を疑います。研究上の競合者が少なく、特定の狭い機関に所属する教養の低い者がこの様な命名を平然と行う現状にある模様です。 |
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トビネズミの仲間のジャルボアは一頃ペット店にてよく売られていたのですが、近頃は殆ど見ない様に思います。極小サイズですので食餌にお金が掛からずに済み、ケージも小型で場所も取らないのは良いのですが、ストレス管理、長期的な視点での栄養管理、或いは繁殖が容易ではないなどの問題があるのかも知れません。サルの天然痘(サル痘)を媒介し、人間にも感染し激烈な症状をもたらしますので、院長の様に子供の時に種痘を受けていない者は重篤化するでしょう。因みに種痘とは、人間には極く軽い症状が出る程度のウシの天然痘をヒトに感染させ、ヒトの天然痘に対する免疫(免疫は種共通)を獲得させる方法です。院長の肩に種痘の痕の盛り上がりが遺っていますが、親の世代では二の腕に6箇所程度、丸い凹んだ痕が遺っていました。刃物で切りつけ膿を擦り込まれたとのことです。ジェンナーの業績で非常に有名ですね。 以降、各ネズミについて解説して行きましょう。 |
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