ネズミの話M ドブネズミの社会とコミニュケーション |
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2020年5月15日 皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です。 家ネズミの筆頭格?であるドブネズミのお話の第4回目です。 本コラム作成の為の参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/ネズミhttps://en.wikipedia.org/wiki/Dipodidaeドブネズミhttps://en.wikipedia.org/wiki/Brown_rat |
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コミュニケーションラットには超音波での発声を行う能力が有ります。子ネズミの時は、母親の自分への探査行動を誘発する異なる型の超音波の啼き声を使い分けます。これは巣の中での母親の動きも制御します。ヒトの新生児も高い声で特有の泣き声を立てますが、母親側はその意味を頭で理解しつつも本能的に世話をする衝動に駆り立てられる筈ですが、まぁ似た様なものでしょうね。生後7日齢では子ネズミは周囲のどのネズミに対しても超音波を発声しますが、14日齢までには防御的な応答行動として、雄のネズミの回りでは有意に超音波発声を減少させます。成体のネズミも捕食者や危険を知覚した時にはそれに反応して超音波の声を発します。その様な啼き声の頻度と時間は雌雄の性別並びに繁殖的な状況に依存します。雌のネズミは交尾中にも超音波を発声します。ラットは、実験的にいつものモルヒネを投与される前、交尾する前やじゃれあう時、荒くれた転がり遊びの間に、短い、超音波の音声を発します。チュ−チュ−啼きと描写されるこの発声は、ヒトの笑い声に相当するものと喩えられて来ましたが、何か報償を期待してのものだと解釈されています。殆どのラットの発声と同様に、チューチュー啼きは人間には周波数が高すぎて特別の装置が無いと聞くことが出来ません。コウモリ探知機がこの目的の為にラットをペットとして飼育する者にはしばしば利用されます。研究に拠ると、チューチュー啼きは好感情と関係していることが分かりました。じゃれあい行動と共に社会的な結びつきが起こり、結果としてじゃれあいを求める習慣づけが起きますが、ヒトの子供がふざけ合いながら笑い声を立てる様なものでしょう。しかしながら歳を取るにつれチューチュー啼きする傾向は低下します。ヒトと同じで加齢と共に子供の様な笑いが少なくなる訳ですね。ラットはコミュニケーションを取る為にヒトが聴くことの出来る周波数の音も発します。飼育下のラットで最も普通に聞くものは歯ぎしり音ですが、これは極く一般的には幸福感が引き起こすものですが、例えば獣医を訪れるなどストレスの掛かる状況下で、自分を慰める行為である場合もあり得ます。この歯ぎしりはかちかち打ち付ける速い音からギシギシ言う音まで個体毎に変異が見られます。イヌなどでも好物を食べた後に歯をかちかち言わせる個体も見受けられますが、これと同列に理解すれば良いでしょう。更に、甲高い突発的な痛みの啼きから、他個体との対立時の柔らかく、持続する謳うような音に至るまで、ラットはキーキー啼きを普通に行います。 モグラは普段全く声を発しない(調べれば超音波を発しているかもしれません)のですが、院長が飼育していたモグラが室内で什器の隙間に潜り込んだ際に捕獲しようと手を突っ込んだのですが、この時キューッと言う鋭い声を立てました。この時に噛み付かれた訳です・・・。 |
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社会的行動ラットは互いに毛繕いしたり共に眠るのが普通に見られます。ピラミッド型の社会秩序(ヒエラルキー)を作り上げていると言われており、1頭のラットが他のラットの上に優勢となりす。ラットの1群は喧嘩遊びをする傾向があり、これはジャンプしたり追いかけたり転がったりボクシングしたりのあらゆる組み合わせから成ります。喧嘩遊びでは互いの首を狙いますが、本気の喧嘩では背中の後端を狙います。生活場所が限られてきた場合、遊びではなく攻撃的な行動に転ずることがあり、結果として何頭かのネズミの死を迎えますが生活空間への重荷を減ずることになります。 ヒトの暴力の起源に関する考察は成書の形で現在でも数冊は入手可能ですが、社会密度が高くなると攻撃的な性向を持つ個体が<暴走>して反撃力の弱い相手をターゲットにする図式が見て取れますが、社会生活集団を形作りながらも、イジメを引き起こす哺乳類の根源的tかつ本質的な進化戦略(=習性)をラットから見る事が出来る、と言ってもけして大仰には思えないのですが如何でしょうか?言い換えれば、一種、<生きて行くことの持つ卑しさ>であり、ヒトはこれを自覚するが故に、文学、哲学、宗教が芽吹いたのでしょう。対社会的には、その様な衝動を抑えるべく社会のルールを幼少から厳しく躾け、せめて社会的体面としてのジェントルマンやレディーを精神面から育成するしか無かろうと院長は考えて居ます。ここに教育の力があります。勿論、暴力の当事者に対しては、社会的ペナルティを科すべきです。ヒトの社会の成り立ちの様も、この様に他の動物−サルなどに限定せず−の社会の成り立ちから見ると、また違った、或いはより合理的且つ深い視点からの、理解と解釈が可能になると考えます。 殆どの哺乳動物同様、ラットも母親と若い子供達から成る家族グループを形成します。雄のグループ、雌のグループを作る場合もあります。ラットは縄張りを持つ動物ですが、他グループに対して攻撃的に活動したり、逆に見知らぬラットに対しては怯えたりもします。縄張りを守る際には、体毛を逆立てたりシューッという音を立てたりキーキー啼いたり尻尾を振り回したりします。ラットは互いに追いかけ合ったり、毛繕いしたり、グループの巣穴で眠ったり、レスリングしたり優劣を小競り合いしたり、コミュニケートしたり様々な遣り方で遊び合ったりします。団子になって積み重なり合う動作は、これは群れ化の極端な形態ですが、ラット個体の社会化には重要な意味を持ちます。これは体温保持に機能するものだと考えられており、生後すぐのラットは特に母親からの体熱に依存しますが、これは自身の体温調整が行えないからです。他の相互的行動には、他の個体の腹の下を這いながらくぐり抜けたり、背中の上を歩いたり、互いに毛繕いをしたり、首付近にそっと鼻を押し当てたりする行動などが見られます。 |
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