ロコモーションの話 ー 恐竜のロコモーション |
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2020年12月20日 皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です。 カピバラと他の水棲齧歯類との運動特性の比較をこれまで行ってきました。最終的にビーバーの尻尾の扁平化の持つ機能的意義について考察しようと思いますが、その前に途中追加的にロコモーション関連の話をまた〜りと採り上げます。その第5回目です。運動性に関することですので、youtube からの動画資料を多くお借りしての解説です。爬虫類についてのお話です。 以下本コラム作成の為の参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/爬虫類https://en.wikipedia.org/wiki/Reptilehttps://ja.wikipedia.org/wiki/有鱗目_(爬虫類)https://en.wikipedia.org/wiki/Squamatahttps://ja.wikipedia.org/wiki/ムカシトカゲ目https://en.wikipedia.org/wiki/Rhynchocephaliahttps://ja.wikipedia.org/wiki/カメhttps://en.wikipedia.org/wiki/Turtlehttps://ja.wikipedia.org/wiki/ワニhttps://en.wikipedia.org/wiki/Crocodiliahttps://ja.wikipedia.org/wiki/恐竜https://en.wikipedia.org/wiki/Dinosaur |
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爬虫類とは何か?漢字の「爬」の意味ですが、公益財団法人日本漢字能力検定協会が運営する漢字ペディアhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0005528700では、@掻く、引っ掻く A這う、這って行く、の意味が当てられ、爬行(ハコウ)、掻爬(ソウハ)などの熟語も掲載されています。この文字自体に身体を左右にくねらせて進むとの意味は有りません。他方、爬虫類の英語名、reptile レプタイルの方は、https://www.etymonline.com/word/reptilereptile (n.)late 14c., "creeping or crawling animal," from Old French reptile (early 14c.) and directly from LateLatin reptile, noun use of neuter of reptilis (adj.) "creping, crawling," from rept-, past participle stem ofrepere "to crawl, creep," from PIE root *rep- "to creep, crawl" (source also of Lithuanian r?plioti "tocreep"). Used of persons of low character from 1749.ラテン語のreptile 由来の言葉で、crawl 這いつくばる, creep 這うを表す動詞 repere レペーレに由来、とあります。因みに卑しい人間を指す言葉としては1749 年が初見とのことです。Precise scientific use began to develop mid-18c., but the word was used as well at first of animals nowknown as amphibians, including toads, frogs, salamanders; separation of Reptilia (1835 as a distinctclass) and Amphibia took place early 19c.; popular use lagged, and reptile still was used late 18c. withsense "An animal that creeps upon many feet" [Johnson, who calls the scorpion a reptile], sometimesexcluding serpents. The Old English word for "reptile" was slincend, related to slink.「reptile の科学的に正しい使用は18世紀中頃には始まったが、最初は両棲類を含めての用語で、18世紀後期にも「手足が沢山有って這いつくばる生き物(ジョンソンはサソリも含めた)の意味で使われた。時にヘビは含めない時もあった。」And the terrestrial animals may be divided into quadrupeds or beasts, reptiles, which have many feet,and serpents, which have no feet at all. [Locke, "Elements of Natural Philosophy," 1689]「地上の動物は、四つ足類即ちけもの、それと reptile に分けることも出来そうだ。これらは多くの手足を持って居るがヘビには全く手足が無い。」確かに、哺乳類とそれ以外(爬虫類+両棲類+その他)の分け方ですね。因みに、Elements of Natural Philosophy. by John Locke, Esq.はアマゾン Kindle 版が100円で入手出来ます。漢字表記、英語表記共に、彼らのロコモーション様式、詰まりは腹を地面に擦りつけて手足で地面を引っかけて前に進む方式に由来する言葉であることが判ります。 |
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恐竜のロコモーション 現生の爬虫類は、ヘビ・トカゲ・ミミズトカゲ(有隣目)、ムカシトカゲ(ムカシトカゲ目)、カメ(カメ目)それとワニ(ワニ目)の4系統から構成されていますが、嘗ては恐竜、翼竜、首長竜、魚竜、海トカゲ(モササウルス)など様々な方向に進化の枝を伸ばして大繁栄していた時代がありました。子供の時に図鑑などでその様なイラストを目にして強い印象を抱いた方も多かろうと思います。院長も勿論その内の1名です!小学館の学習図鑑シリーズの中の『地球の図鑑』が小学生の頃の愛読書でした。だいぶ傷んでいますが今も持っています。 恐竜は地上で大型化した爬虫類の一派ですが、這いつくばりのロコモーションから、バジリスク(水面を後肢で2足歩行する)の様に後肢での2足歩行性にまず進化し、腹面が地面から浮くことで凸凹した土地にも進出が可能となり生存圏を拡大したのでしょう。大型化する過程で後肢を体幹の下に位置する様になりましたが、これは関節面で体重を支える点で有利な改変です。後肢2本から前方の頭部+体幹と、後肢2本から後方の尻尾で重さのバランスを取りながら後肢を片側ずつ進めて歩行したのでしょう。 |
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この時に、どうしても鉛直軸回りの回転が発生します(アヒルの歩行時にお尻が左右に振れる様に)ので、歩行中に体幹の左右へのくねりは必ず発生していた筈ですが、それ以上に後肢各関節の左右軸周りの反復回転運動に拠る前方推進力産生がモノを言い、這いつくばりに比べて遙かに効率的なロコモーションを取り得たろうと思います。換言すれば鉛直軸回りの反復回転性優位型から水平軸回りの反復回転性優位型への馬力切り替えが起きた訳です。 一見哺乳類のような四足歩行型の恐竜もいましたが、体重の増大に伴い二次的に四足歩行化したとの考えも提出されています。これに関しては例えばトリケラトプスの前肢帯(=肩帯、肩甲骨とその周囲の骨要素のワンセットで上腕骨と胸骨の間に介在する)が簡素化せずに古い爬虫類の形態を示していることから、果たして二次的にこの様な構造を再現し得たのかの疑問が残ります。 ここまで改変が進むとロコモーション様式的には現生の哺乳類と大差なかったようには見えますが、脊椎骨の可動性並びににその周囲に付着する筋の配列が哺乳類とは違っていた可能性があること、また肩甲骨並びにその周囲の骨要素と筋配置が同様に哺乳類と異なっていた可能性があること、以上から哺乳類と全く同じ四足歩行であったと断言することは出来ないと院長は考えて居ます。言える事は、地表への進出に於ける適応として、恐竜と哺乳類との間で、持てる素材が異なり質的な違いは有るものの、平行進化的に似た様な改変が進んだと考えると面白いです。これを深い視点から解析できるのは機能形態を専門とする形態学者に軍配が上がり、骨を見て想像をたくましくし、さっとモノを言ってしまう者達にはちょっと不可能だろうと思います。 因みに恐竜が我が世の春で地表を<跋扈>していた時代には、既に哺乳類は体幹の下に四肢を配置する進化を遙か以前に獲得していました(これに関しては哺乳類のロコモーション進化の項にて後述します)。恐竜の方が先に地上四足歩行性を高めたとの見解は誤りです。後肢2本でのロコモーションは翼の無い鳥(但しトリは尻尾を退化させています、後のトリのロコモーションのコラムにて触れる予定です)が地上を歩行している姿からは或る程度は思い描くことが可能でしょう。 現在では過去に栄えた多くの爬虫類の系統が滅んでしまい、サイズも大方は小型となり大人しく生きているとの印象でしょうか?逆に言えば特殊化して大型化した各種爬虫類が気候変動に適応できず滅亡(恐竜の仲間の一派は鳥類として生き残った!)してしまい、基本形を維持していた小さい爬虫類が生きながらえた、とも言えそうです。 そもそも爬虫類が如何にして誕生したのかについては大変興味深いテーマですが、それは後日に譲るとして、次回からは現生爬虫類のロコモーションに焦点を当てて話を進めます。 |
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