Ken's Veterinary Clinic Tokyo
相談専門 動物クリニック

                               

























本コラム作成の為の参考サイト:

https://ja.wikipedia.org/wiki/ネズミ


https://en.wikipedia.org/wiki/Dipodidae







https://en.wikipedia.org/wiki/Caviidae

https://ja.wikipedia.org/wiki/テンジクネズミ科


https://ja.wikipedia.org/wiki/カピバラ

https://en.wikipedia.org/wiki/Capybara


https://en.wikipedia.org/wiki/Hydrochoerus

https://en.wikipedia.org/wiki/Lesser_capybara







https://ja.wikipedia.org/wiki/爬虫類

https://en.wikipedia.org/wiki/Reptile



https://ja.wikipedia.org/wiki/有鱗目_(爬虫類)

https://en.wikipedia.org/wiki/Squamata


https://ja.wikipedia.org/wiki/ムカシトカゲ目

https://en.wikipedia.org/wiki/Rhynchocephalia


https://ja.wikipedia.org/wiki/カメ

https://en.wikipedia.org/wiki/Turtle


https://ja.wikipedia.org/wiki/ワニ

https://en.wikipedia.org/wiki/Crocodilia






https://ja.wikipedia.org/wiki/ヘビ

https://en.wikipedia.org/wiki/Snake



https://ja.wikipedia.org/wiki/ダイヤガラガラヘビ

https://en.wikipedia.org/wiki/Diamondback_rattlesnake



https://ja.wikipedia.org/wiki/ピット器官

https://en.wikipedia.org/wiki/Infrared_sensing_in_snakes



https://ja.wikipedia.org/wiki/ブラックマンバ

https://en.wikipedia.org/wiki/Black_mamba



https://ja.wikipedia.org/wiki/ウミヘビ科

https://en.wikipedia.org/wiki/Sea_snake


https://ja.wikipedia.org/wiki/エラブウミヘビ

https://en.wikipedia.org/wiki/Black-banded_sea_krait







沖縄県庁ホームページ ハブの被害
https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/hoken/eiken/eisei/habunohigai2.html



https://ja.wikipedia.org/wiki/ハブ_(動物)

https://ja.wikipedia.org/wiki/クレオパトラ7世

https://en.wikipedia.org/wiki/Cleopatra







https://ja.wikipedia.org/wiki/ベローシファカ

https://en.wikipedia.org/wiki/Verreaux%27s_sifaka



https://ja.wikipedia.org/wiki/フォッサ

https://en.wikipedia.org/wiki/Fossa_(animal)








 院長のコラム 2021年2月20日


 ロコモーションの話 ー ガラガラヘビの  sidewiding ロコモーション










ロコモーションの話 ー ガラガラヘビの sidewiding ロコモーション




2021年2月20日

 KVC Tokyo 院長 藤野 健です。

 カピバラと他の水棲齧歯類との運動特性の比較をこれまで行ってきました。最終的にビーバーの尻尾の扁平化の持つ機能的意義について考察しようと思いますが、その前に途中追加的にロコモーション関連の話をまた〜りと採り上げます。その第17回目です。運動性に関することですので、youtube からの動画資料を多くお借りしての解説です。

 爬虫類についてのお話の13回目です。



本コラム作成の為の参考サイト:


https://ja.wikipedia.org/wiki/ヘビ

https://en.wikipedia.org/wiki/Snake


https://ja.wikipedia.org/wiki/ダイヤガラガラヘビ

https://en.wikipedia.org/wiki/Diamondback_rattlesnake


https://ja.wikipedia.org/wiki/ピット器官

https://en.wikipedia.org/wiki/Infrared_sensing_in_snakes


https://ja.wikipedia.org/wiki/ブラックマンバ

https://en.wikipedia.org/wiki/Black_mamba


https://ja.wikipedia.org/wiki/ウミヘビ科

https://en.wikipedia.org/wiki/Sea_snake


https://ja.wikipedia.org/wiki/エラブウミヘビ

https://en.wikipedia.org/wiki/Black-banded_sea_krait


沖縄県庁ホームページ ハブの被害

https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/hoken/eiken/eisei/habunohigai2.html


https://ja.wikipedia.org/wiki/ハブ_(動物)


https://ja.wikipedia.org/wiki/クレオパトラ7世

https://en.wikipedia.org/wiki/Cleopatra


https://ja.wikipedia.org/wiki/ベローシファカ

https://en.wikipedia.org/wiki/Verreaux%27s_sifaka


https://ja.wikipedia.org/wiki/フォッサ

https://en.wikipedia.org/wiki/Fossa_(animal)







The Sidewinder Snake Slithers at 18 MPH

2015/02/20 Smithsonian Channel

Reaching speeds up to 18 MPH, the sidewinder slithers rapidly along

the desert dunes. The way it buries itself in the sand is even scarier.

https://youtu.be/B3NbPUTD5qA


砂の上を時速 33kmで移動できるとのことですが、もの凄い速さですね。

砂の中に潜り、待ち受け型で獲食します。ロコモーションの機構の説明が

何を言っているのか分かり難く感じますし、本当にこの様な機構で足りて

いるのか院長は疑問を感じています。






ガラガラヘビの  sidewiding ロコモーション




 身体をS字型にくねらせて進む場合には進行方向軸に対する回転運動が発生しますが、これにも拘わらずに滑らかに前に進めるのは、これを複数のS字(カーブが逆方向)をほぼ同時発生させることで相殺し、体幹の背骨の長軸に沿った進行方向のみの運動エネルギーを出力して進む事が出来る訳です。まぁ、巨視的に見て、左右に進む運動のベクトル成分を作用+反作用に拠り帳消しする訳ですね。

 では、この左右のバランスを崩したらどうなるでしょうか?サイド方向に向かう運動成分が帳消しにされなくなり、ヘビの身体全体が側方に移動することになります(正確には前方斜め側方)。

 1つの考え方としては、左側のS字カーブのアンカーポイントに、より大きな摩擦力を生じる様に体重を掛け、右側のそれを弱くしてバランスを崩せば、左右方向への運動ベクトルが相殺されず、自ずと右サイド(実際には右前方方向)に進む (sidewiding サイドワインディング) 事になることが予想されます。アンカーポイントに掛かる体重を違ったものにするには、左右のS字カーブの曲率を変える(右に進むには右側のS字カーブを浅くする)、或いは進行方向反対側のアンカーポイント間の体幹を浮かし、その重量をアンカーポイントに強く掛ける、進行方向側のアンカーポイントを浮かせ気味にする、などすれば可能かも知れません。まぁ、右カーブと左カーブ周辺で産生される左右方向の力成分の差に拠り、砂なる媒体の上で横方向に身体が押し出され、滑りを惹き起こすと原理的には単純に考えられそうです。

 この方式では、体幹の前半が作ったネジの溝の上を後半がなぞる様なことは出来ず、S字カーブ付近のアンカーポイント自体がヘビがS字波を後方に送る過程で側方にずれて進む事になります。従って砂の上には横方向への連続的なアンカーポイントの軌跡が描かれるでしょう。この点で、大げさな表現かもしれませんが、一般的なS字型のヘビのロコモーションとは一線を画する異なるロコモーションと言えるかと思います。即ち、ここにスケートモデルは成立しません。静かに身体をくねらせて悠然と進むヘビの神秘性は消え、騒がしい機械の様なロコモーションになります。身体の前方が描いた軌跡上をなぞりながら前方推進力を産生する一般型のヘビのロコモーション機構とはまた異なった複雑な制御性に基づく訳です。エッジを効かせて踏ん張る時のみ腹鱗横のウロコを立たせ、横滑りするときはウロコを寝かせるなどを迅速に切り替えを行っている可能性もありそうです。横滑りしますので、砂漠のような粒子の細かい滑らかな地表以外では行うのは困難でしょう。即ち、エッジを効かせる事が出来、且つ滑りやすい地表面である必要があります。もしかするとガラガラヘビは雪上でもサイドワインディングが可能かもしれません。寒さで動作不能になる可能性もありそうですが。凸凹の大小の岩が散在する様な場所では身体が引っかかってしまいますので sidewiding は出来ませんね。






Sifaka Lemurs Jumping Around | Attenborough | BBC Earth

2009/05/19 BBC Earth

These strange creatures leap from spine covered tree to spine covered

tree. Their technique is amazing as they are able to leap from tall tree

trunks to land safely and securely, even with babies - if they can avoid

their four footed predator, the Fossa.

https://youtu.be/5c116fcBzFI


垂直跳躍方式で樹林をスイスと移動します。マングースに近い仲間のフォッサも

これを巧みに追いかけますが跳躍距離でかないません。シファカは地表に下り

ると side-ways bipedal hopping にて片側にスキップしますが、時々左右を入れ

替えて進みます。ガラガラヘビの  sidewiding も時々方向を入れ替えているなら

面白いですね。





 進化的には、左右非対称性の運動が先に起きたと考えるのは<不自然>であり、S字カーブで前に進む左右均衡ロコモーションからの派生としての sidewiding と考えるべきでしょうね。

 ヒトの二足歩行性の傍流と言えるかと思いますが。マダガスカル島に棲息するシファカと言う原猿 (キツネザルの仲間)がいます。因みにマダガスカル島は、原始的な哺乳類が生存した時期にそれぞれ大陸から切り離され、新たに進化した競争相手が侵入しないが故に古いタイプの動物が独自の発展と現在に至るまでの生存を迎えた点で、オーストラリアに似ています。シファカは樹木の垂直の幹の間をしがみつきながら跳躍して移動するのですが、地面に下りると、体幹のいずれかのサイド方向に二足でスキップして進みます(side-ways bipedal hopping サイドウェイズ バイペダル ホッピングと呼ぶ)。時々左右を交替してスキップしますが、ガラガラヘビの  sidewiding が同じ様に進行方向を左右に切り替えるのかどうか知りたいですね。或いはヒトの利き手の問題と同じく、個体または種としてどちらに進むのかが決まっている、好みがあるのとか?

 さて、S字蛇行の前方推進力が体幹各部の円滑な協調性を持ち集積され、ヘビの一本の体幹長軸に沿う推進力を生むのに対し、サイドワインディングでは体幹の各節が産生するパワーを複数箇所纏めて推進力として(横方向に)一気に纏めて発動出来る点で、滑らかな地表があればですが、速度も稼げ、1つの進化した這いつくばり式ロコモーションと言えると思います。まぁ、電車がところどころに動力車を挟んでそれらの協調的な出力和で線路を進む場合は、各動力車が最大パワーを出力するに至るのは制御が容易ではないと思いますが、各動力車が横方向を向いて緩く連結し、各々最大パワーを最初からフル出力して進む様な感じでしょうか。ガラガラヘビの場合砂上を時速33kmで  sidewinding 出来ると報告されています。ウマの高速ロコモーション即ちギャロップになぞらえてヘビのギャロップと呼ぶ例も見られますが、機構は全く異なっています。この横滑り方式のロコモーション映像を見ている限り、動きが速すぎて混乱してしまい、一般の方はどの様な機構で進むのか全く理解が出来ないのではないでしょうか?上から二次元的に俯瞰して機構を考えようとしても判らないままで、3D的なデータ、特に腹側からの挙動を観察してデータを得て、初めて理解が可能になるでしょう。






Rattlesnake bite in slow motion!

2018/03/19 Frank Varela

Rattlesnake bite in slow motion captured with iPhone X

at World championship rattlesnake races in San Patricio TX 2018

https://youtu.be/gj-ORIaAk7Q


2018年にテキサス州サンパトリシオにて開催されたガラガラヘビレース世界選手

権での一コマ。ガラガラヘビはピット器官と言う高感度の赤外線センサーを鼻先の

周囲に持つヘビの仲間ですが、暖かな息を吹き込んだ風船を狙い撃ちさせました。

この動画を目にして院長はすぐにこれはテキサスに違いないと確信しましたが矢張

りその通りでした。実際に噛まれたとなると致命率は低くくは無い筈です。




Bobcat Kills Rattlesnake While Fighting - 1147348

2020/10/13 RM Videos

https://youtu.be/SIcpg_pFbF8


ボブキャットが自分の砂浴び場に侵入したガラガラヘビに怒ったのか、咬み

殺してしまいます。何も毒蛇を殺すのはマングースばかりではない様です。




SCARIEST BLACK MAMBA RESCUE EVER!!!!

2020/04/14 Dingo Dinkelman

In our last episode of this seasons Reptile Rescues we have left the best

for last. Not just one mamba but two black mambas have invaded the house

of a lady living in a rural area that is teeming with Black Mambas. Talk about

having a nightmare in your house!!!!

https://youtu.be/NHysM_f2gmk


南アフリカの住宅に2匹のブラックマンバが侵入したとの連絡を受けてディンゴ氏が

駆けつけます。赤ん坊(それでも噛まれると1時間以内に死ぬ)並びに巨大な成体が

捕獲出来ました。隙間から住宅内にヘビが侵入するのは沖縄などでも見られるのかも

しれません。因みにハブはガラガラヘビににそこそこ近い種になります。ハブに噛ま

れると、噛まれた手足の先が血液毒で青黒く壊死し大方切断を余儀なくされます。






 ガラガラヘビ(本邦のハブとマムシにやや近い)の sidewiding の機構の詳細並びにその進化的獲得について再検討すると面白そうに思います。院長も圧力センサーの板を敷き詰めた上にヒトを歩行させてパターンを解析した経験が有りますが、より高感度な感圧センサーを床に敷き詰め(滑らか且つウロコのエッジが効く素材)、ガラガラヘビを歩行させたらと思います。四方からから3D運動性を記録し、電波式の筋電センサーを体幹の各部に複数植え込み、筋骨格系の形態機能、更には神経系の制御機構まで解明出来れば大論文の大方の出来上がりとなりそうです。・・・只一つ老婆心ながら申し添えますが、マーカーや電極の取り付け中、或いはデータ収集中などに怒ったガラガラヘビに噛まれて殉職することの無きよう呉々もご注意の程を!麻酔を掛けたつもりが相手が寝た振りをしていていきなり噛み付いた、ではちょっと洒落になりません。






The Death of Cleopatra

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/05/Guido_Cagnacci_003.jpg

Guido Cagnacci, Public domain, via Wikimedia Commons

Kunsthistorisches Museum 所蔵 Guido Cagnacci 作 after 1659


クレオパトラは腕或いは乳房をコブラに咬ませて自殺したと伝えられています。






 因みに沖縄に棲息するハブProtobothrops  flavoviridis  は世界3大毒蛇の内の1つとされ、噛まれるとその血液毒に拠り、組織がぼろぼろになり壊死して脱落するとの惨状を呈します。結果として大方は切断を余儀なくされますが、早めに血清治療を受ければまだしも軽く済みますが、それでも1ヶ月程度の入院が必要になります。他方、ブラックマンバ  Dendroaspis  polylepis の方は神経毒であり、獲物が痺れて抵抗性を失っているところを丸呑みするとの作戦で、毒が解毒されれば後遺症なく終わりますが、無治療だと致死率100%になります。まぁ、呼吸筋麻痺か心臓麻痺でしょう。

 因みにガラガラヘビは水中ではS字に身体をくねらしながら他のヘビと同様に前方に進みます。水中では左右非対称的に力の掛かるアンカーポイントを作ることが出来ずに空回りしてしまい、側方移動は実質困難と言うことなのでしょう。また水の横方向からの抵抗を大きく受けることに成りますので、進めたものでは無くなりそうです。ウミヘビ同様、魚スタイル、船の櫓漕ぎ方式に素直に戻る訳です。逆に考えれば、サイドワインディングロコモーションは、ヘビの地上(地表)生活性、特に砂漠生活性への高度な適応と工夫!に拠って二次的に獲得されたロコモーションと言えるでしょう。

 次回にて別の方式のヘビ型動物のロコモーションに触れます。ヒントは、身体全体としてS字カーブを次第に小さくしていったらどの様なロコモーションに切り替わるのか、です。ちょっとカタツムリのロコモーションに似ています。