ロコモーションの話 ー ヘビの民俗 |
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2022年1月5日 皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です。 カピバラと他の水棲齧歯類との運動特性の比較をこれまで行ってきました。最終的にビーバーの尻尾の扁平化の持つ機能的意義について考察しようと思いますが、その前に途中追加的にロコモーション関連の話をまた〜りと採り上げます。その第8回目です。運動性に関することですので、youtube からの動画資料を多くお借りしての解説です。 爬虫類についてのお話の4回目です。トカゲに続きヘビのロコモーションに入る前に、ヒトがヘビと聞くと何故か落ち着かなくなり、対象を冷静に捉えにくくなる要因について、2回に亘り考察を加えて行きましょう。正月休みの番外編とご理解下さい。 本コラム作成の為の参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/爬虫類https://en.wikipedia.org/wiki/Reptilehttps://ja.wikipedia.org/wiki/有鱗目_(爬虫類)https://en.wikipedia.org/wiki/Squamatahttps://ja.wikipedia.org/wiki/ヘビhttps://en.wikipedia.org/wiki/Snakehttps://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/3/33769/20141016194912731713/HABITUS_16_1_kondo.pdf昔話・神話にみる蛇の役柄−知恵・生命・異性の象徴となる蛇−近藤良樹平成24年3月『HABITUS』(西日本応用倫理学研究会・広島大学倫理学研究室)第16巻1〜25頁https://ja.wikipedia.org/wiki/メドゥーサhttps://en.wikipedia.org/wiki/Medusahttps://ja.wikipedia.org/wiki/ベンヴェヌート・チェッリーニhttps://en.wikipedia.org/wiki/Benvenuto_Cellinihttps://ja.wikipedia.org/wiki/ロッジア・ディ・ランツィhttps://en.wikipedia.org/wiki/Loggia_dei_Lanzihttps://ja.wikipedia.org/wiki/アスクレーピオスギリシア神話に登場する死者をも蘇らすことの出来た名医https://en.wikipedia.org/wiki/Asclepiushttps://ja.wikipedia.org/wiki/アスクレピオスの杖https://en.wikipedia.org/wiki/Rod_of_Asclepiushttps://ja.wikipedia.org/wiki/クスシヘビhttps://en.wikipedia.org/wiki/Aesculapian_snakehttps://ja.wikipedia.org/wiki/薬師如来https://ja.wikipedia.org/wiki/東大寺盧舎那仏像https://ja.wikipedia.org/wiki/岩国のシロヘビ岩国白蛇神社https://www.shirohebijinja.com/https://ja.wikipedia.org/wiki/宇賀神https://ja.wikipedia.org/wiki/アオダイショウ |
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ヘビの民俗 <蛇蝎の如き>なる形容句があり、ヘビとサソリみたいにイヤなものだとの喩えになりますが、ヘビに関しては何か本能的な恐怖心を覚えさせるものがありそうです(次回コラムにて扱います)。院長が子供の頃に楳図かずお氏のヘビ女などの漫画が各少年少女誌に掲載され震えながら読んでいた記憶があります。自分のお母さんがいつの間にかヘビ女に入れ替わっていたとの恐怖譚ですね。寝床にウロコが落ちていたり、くねくねと床を這ったり、裂けた口元を隠しながら卵を呑みたいとか言い始める訳です・・・。目を見開きクワァ〜ッと口を開いた形相は子供には刺激が強すぎました。と同時に楳図氏の鬼才ぶりを子供心にも感じていました。 ヘビに纏わる民俗に関しては、下記論文が秀逸ですのでご参考までに。 https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/3/33769/20141016194912731713/HABITUS_16_1_kondo.pdf昔話・神話にみる蛇の役柄−知恵・生命・異性の象徴となる蛇−近藤良樹平成24年3月『HABITUS』(西日本応用倫理学研究会・広島大学倫理学研究室)第16巻1〜25頁 |
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ギリシア神話に登場する怪物メデューサは元々美少女でしたが、神殿中で海神ポセイドンと愛の交歓をしていることを女神アテナに知られ怒りを買い怪物に変えられました。頭髪がヘビであり、見た者を石に化する力を持つため誰も近づけずに困っていましたが、寝ている間にペルセウスが首を掻き切り漸く退治が出来ました。この様に西洋古典の世界でもヘビが不気味で禍々(まがまが)しい存在と見做されていたのは間違い無さそうです。 しかしその一方では異形の存在としての神秘性を感じ取り、知恵の象徴ともされました。医療や医術の象徴のアスクレピオス(ギリシア神話に登場する死者をも蘇らすことの出来た名医)の杖、には彼が飼育していたヘビ(クスシヘビ 薬師蛇 Zamenis longissimus 成体はアオダイショウに似ています)が一匹絡まっていますし、WHOのロゴマークにもこれが取り入れられています。因みに薬師 くすし、とは日本の古い言葉で医者(漢方薬の専門家)を差す言葉です。薬師(やくし)如来は病を治す法薬を与える医薬の仏ですが、病に苦しむ衆生がこれに縋ったのでしょう。と言いますか、奈良の大仏(天平勝宝4年4月9日、新暦 752年5月26日開眼)自体が旱魃飢饉、地震、反乱等の社会不安に加え当時大流行した天然痘を鎮圧したいとの祈願を籠めて造立された経緯があります。薬師如来は医療に特化した仏様と言う事になりますね。 日本でもアオダイショウ(Elaphe climacophora) に対する崇拝があり、これを傷つけたりすると祟るとの言い伝えも各地で根強く遺っていると思います。院長も子供の頃に目の前の木の枝に茂った葉の中から突然現れ横切り消えたアオダイショウを見たときには神秘なものを感じると同時にその迫力に身動きが取れなくなったことを思い出します。岩国のシロヘビはアオダイショウの白化型ですが1972年に天然記念物に指定されていますし、岩国白蛇神社も有名です。この神社のご神体は宇賀弁財天ですが、弁天様の頭の上に宇賀神(農業、福の神、人頭蛇身)を乗せています。 |
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この様にヘビの民俗についてモノを語れば本が何冊も書けてしまいそうです。執筆を続けている内に、左右にスウィングして歩いたり、しきりと卵を丸呑みしたくなったりして・・・。 |
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