飛べないトリA キウィ |
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2021年10月10日 KVC Tokyo 院長 藤野 健です。 カピバラと他の水棲齧歯類との運動特性の比較をこれまで行ってきました。最終的にビーバーの尻尾の扁平化の持つ機能的意義について考察しようと思いますが、その前に途中追加的にロコモーション関連の話をまた〜りと採り上げます。トリの羽ばたきロコモーション付いて見て行きましたが、序でに?翼を使わずに地上生活するに至ったトリのロコモーションについて採り上げましょう。運動性に関することですので、youtube からの動画資料を多くお借りしての解説です。 以下本コラム作成の為の参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/キウイフルーツhttps://en.wikipedia.org/wiki/Kiwifruithttps://ja.wikipedia.org/wiki/キーウィ_(鳥)https://en.wikipedia.org/wiki/Kiwi_(bird) |
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キウィ キウィと言うと皆さんはキウイフルーツをまず思い浮かべる筈ですが、同じ温帯域にあるニュージーランドにて中国大陸原産の和名オニマタタビを中心とし、その近い種類のものを掛け合わせて品種改良されたものの商品流通名です。大してトリのキウイにも似ていませんが、ニュージーランド、並びにニュージーランド人のシンボルとしてのトリのキウイの名を付けた愛称戦略もあり、一気に世界的に普及した果物ですね。院長が子供の頃には国内では販売されていない果物であり、最初に口にした時には小さな種がじょりじょりする感触に驚き、正直今も苦手とし自分からは進んで食べる事はありません。個人的には果物ではなく何か特殊なカテゴリーの食べ物として捉えています。国内でも庭木として普通に植栽され、園芸店には雌雄株が売られているのを目にします。蔓植物ゆえに藤棚の様な日陰造りにも利用されています。 キウィは分類自体は、鳥綱の下にキウィ目を作り独立させるのか、或いはダチョウ目に含めるのかどうか、研究者に拠り幾らかはまだ揺れ動いていますが、DNAの比較解析からは同じくニュージーランドに隔離されていたモアよりもマダガスカル島に棲息していたエピオルニス(共に絶滅種)にずっと近縁であることが知られています。現生では5種類ほどが知られていますが、全てニュージーランドの森林に棲息しています。元々ニュージーランドにはヒトの入植前にはコウモリしか哺乳動物が居なかったのですが、ヒトが持ち込んだ各種の哺乳類(ネズミ、イヌ、ネコ、オコジョ、有袋類)などに捕食されますが、現在では保護区内に良好に維持されています。 |
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キウィのサイズはニワトリ程度の大きさですが、現生の走鳥類 (エミュー、ダチョウ、レア、ヒクイドリ)の仲間では最小の種になります。キゥイ目として独立させようとの考え通りに、他のトリとは形態的にも異なっています。完全に飛べませんが、前肢即ち翼は退化傾向が著しく、前肢骨全体で後肢の指1本程度のサイズしかありません。飛翔筋が付着する場所となる胸骨の竜骨突起が未発達であり、尾羽も有りません。いわゆる羽根の形をしたものは見られず、エミューなどと同様に毛様の羽根を蓑の様に纏います。2本の後肢は発達良く強大で、クチバシの先端に鼻孔が空いています。これは地中の餌を探るのに有利になりますね。自重の20%に達する大きな卵を生みますが、この比率はトリの仲間の内で最大です。飛翔するトリは体重の制限から大きな卵は腹に抱える事は出来ませんが、ひょっとすると、キウィの祖先系が次第に小型化を遂げたものの、卵のサイズが大きい方が生存に有利になるとの選択(=進化圧)が働いて、卵が相対的に<巨大化>したのかもしれませんね。ブラウンキウィでは卵が1個が 450g に達する場合があります。オスが巣作りや子育てを行います。スチュワート島棲息の亜種のみ夜行性に加え昼行性ですが、他のものは夜行性です。日が落ちると活動を開始して地中や倒木にクチバシを差し込み、昆虫の幼虫やクモ、多足類、ミミズ、果実などを食べます。当然乍ら、視覚に頼って餌を見つけるのでは無く、嗅覚、触覚で餌となる虫やミミズを見つけるのでしょう。目とクチバシ部分が地中生活を送るモグラ化しているように感じられます。 |
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